クレジットカードは現代社会における主要なキャッシュレス決済手段として、利用額や契約枚数が年々増加しています。
日本ではクレジットカードが日常的に多くの場面で使われており、今後さらに成長することが予想されています。
今回の記事では、クレジットカード業界の基本的な仕組みやトレンド、国内シェア、そして今後の展望について解説します。
クレジットカード業界のしくみ
クレジットカード業界は、「カード利用者」、「加盟店」、「カード会社」という3つの主要なプレイヤーによって構成されています。
利用者は、日常の買い物やサービスの支払い時にクレジットカードを利用します。
この際、実際に支払いが行われるのは加盟店とカード会社の間であり、カード会社が利用者の代わりに一時的に立て替えを行います。
後日、カード利用者がカード会社に対して利用した金額を支払う形で取引が完了します。
このシステムによりカード利用者は支払いを後回しにでき、加盟店は現金を手にすることなくすぐに売上を確定できるメリットがあります。
加えて、カード会社は手数料収入を得ることでビジネスモデルを成り立たせており、3者が互いに利益を得られるしくみです。
国際ブランドと発行会社の違い
クレジットカード業界において、しばしば混同されるのが「国際ブランド」と「発行会社」です。
国際ブランドは、VisaやMastercard、JCBなどの決済ネットワークを提供する企業のことを指します。
これらのブランドは、世界中の加盟店で使える共通の決済インフラを提供しており、利用者がどの国にいてもスムーズに決済を行えるようにしています。
一方で発行会社は実際にクレジットカードを利用者に発行し、支払いの立て替えや利用明細の管理を行う企業です。
日本国内では三井住友カードや楽天カードなどが発行会社として知られています。
このように、国際ブランドは決済のインフラ提供、発行会社はカードの発行や管理を担う役割分担がされています。
クレジットカード業界の現状
近年、日本国内におけるクレジットカードの利用は急速に拡大しています。
2022年には、年間のクレジットカードショッピングの信用供与額が93兆7,926億円に達しており、過去最高を記録しました。
これは、日本全体でキャッシュレス化が進展していることを示しています。
特にコロナ禍によって非接触型の決済やオンラインショッピングが急増したことが、クレジットカード利用拡大の一因となっています。
また、2022年12月時点でのクレジットカード発行枚数は2億7,973万枚と、人口1人あたりに換算しても複数枚のクレジットカードを所持していることになります。
クレジットカードは今や生活に欠かせない存在となっています。
国内におけるクレジットカードの国際ブランドシェア
日本国内におけるクレジットカードの国際ブランドシェアを見てみると、Visaが約50.8%と最大のシェアを誇っています。
次いでJCBが28%、Mastercardが17.8%という状況です。
Visaは世界的に最も利用されているブランドであり、多くの加盟店で対応しているため、日本国内でも人気があります。
JCBは日本発の国際ブランドとして、特に国内で強いシェアを持っており、日本人旅行者にとっては海外でも安心して利用できるメリットがあります。
Mastercardは主に海外の店舗で強みを持っており、国際的な利用に便利なブランドとして位置づけられています。
クレジットカード業界のトレンドと今後の展望
2020年以降、クレジットカード業界にはいくつかの大きなトレンドが見られます。
まず、コロナ禍の影響で「非接触決済」や「オンラインショッピング」の利用が急増したことが挙げられます。
感染リスクを避けるために店舗での現金のやり取りを避ける動きが加速し、スマートフォンをかざすだけで支払いが完了する非接触型の決済サービスが普及しました。
また、スマホ決済やQRコード決済といった新しいキャッシュレス手段も登場し、消費者の選択肢が広がっています。
これにより従来のクレジットカードに加え、スマホアプリでの支払いが増加しており、キャッシュレス社会への移行がさらに加速しています。
一方で、不正利用に対するセキュリティの強化は重要な課題です。
オンライン決済の増加に伴い、カード情報を悪用した詐欺やスキミングといった問題が増加しています。
これに対処するために、各社はICチップの導入やトークン化といった新しい技術を採用し、利用者が安心してカードを利用できる環境を整えています。
クレジットカード業界は、キャッシュレス社会の進展とともに今後も成長を続けると予想されています。
スマホ決済やQRコード決済といった新しい決済手段との競合も激化する中、クレジットカード業界はどのように進化していくか、今後の動向に注目です。
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